ここでは様々な映画を独断と偏見でレビューしていきます。目指せ10000本!!
ある愛の風景 スサンネ・ビア監督
2004年 デンマーク
評価 B+
「戦争による人間の変化を非常にうまく捉えた佳作」
ちわーっす。
今週も金曜午前中の更新。
書評家のおじさんが映画好きで、「その映画のいいところを見つけろ」といっていた。
悪いところを見つけるのはあまりに簡単で、しかも自分のためにならぬから・・・と。
なるほど確かに。でもよく考えてみれば、観るときは自然とそうしているな、僕は。
レビューではウンチな作品以外はちゃんといいところを書いてるし。
ウンチな作品についてはいいところが少なすぎて、観てもらうのも忍びない。
我ながらナイスなスタンスだ。
そして、映画も小説も「細部」にこそ魂が宿るとも。
これ大切ね。
友人1曰く 百年恋歌のオープニングだけで泣くんだよ
友人2曰く トゥモロー・ワールドのロングショット一つだけを一日中観ていた
僕曰く パリ・テキサスのマジック・ミラーのショットが美しすぎる。それだけであの映画に価値がある。
そう、そういうこと。
だからねー、「スラムドッグ・ミリオネア」とかは違うんだなぁ。
あれは一つのストーリーを描くために映画を撮っているでしょう?
本当は、一つのショットが積み重なったものが、勝手に映画になるんじゃないか。
2時間かけて、(ストーリーラインの上にある)たった一つのショットに出会うために映画を観るのよ。
それが映画の楽しみ方。
そこらへんヨロシク!!
はい、ある愛の風景
「しあわせな孤独」のスザンネ・ビア監督が、遠い国の戦争で引き起こされた不条理によってその運命を大きく狂わされる2人の兄弟の絆と葛藤を軸に、それを取り巻く家族の苦悩と深い愛情を描いた感動のヒューマン・ドラマ。出演は、「グラディエーター」のコニー・ニールセン、「マーサの幸せレシピ」のウルリク・トムセン、「しあわせな孤独」のニコライ・リー・コス。なお、コニー・ニールセンはデンマーク出身ながらデンマーク映画への出演は本作が初めてだったとのこと。
エリート兵士のミカエルは、美しい妻サラと2人のかわいい娘に囲まれ幸せな日々を送っていた。良き夫であり良き父でもあるミカエルは両親にとっても自慢の息子。一方、独り身の弟ヤニックは定職もなく罪を犯して服役までした厄介者。そんなある日、ミカエルは愛する妻と娘たちを残して、戦禍のアフガニスタンへと派遣されることに。それから間もなく、サラのもとに彼の乗ったヘリコプターがアルカイダに撃墜されたとの訃報が届く。その死を受け入れられず、絶望から立ち直ることが出来ないサラ。ヤニックは、そんなサラの支えとなることで、次第に心を入れ替え真面目で穏やかな人間へと変わっていく。そんな中、奇跡的に一命を取り留め、過酷な捕虜生活を送っていたミカエルが国連軍に救出され帰還を果たす。愛する家族と再会したミカエルだったが、捕虜の時の過酷な経験が彼を別人のように変えてしまっていた。
スサンネ・ビア特集2
ストーリーは上記の通りです。
撮影は相変わらずのドグマっぽさだけど、「アフター・ウェディング」、「悲しみが乾くまで」に比べて、
わりとスタンダードな撮り方です。
兵士ミカエルのある経験によって、
全ての人々の関係に軋轢が生じるわけですな。
この映画ではアフガン戦争とデンマークという安定した社会の、
ある程度の対比がされているわけですが、本質はそこじゃありません。
「戦争が何を破壊するか」でしょう。
んで、この映画では命そのものではなく、絆。
終わり方は希望を残しますが、冷静に考えれば関係は修復不可能なところまできている気がします。
そして、デンマーク側しか描いてませんが、それはアフガン側の人たちにも起きていることでしょう。
ハッキリ言っちゃえば、この手の葛藤はよくあります。
けど、この映画の良かったところは、プライベート・ライアンみたいに、
戦争そのものの悲惨さをマクロに描かなかった点です。
プライベート・ライアンはいかにもな感じで主張する映画ですが、
そういう映画にいいものはありません。
カメラが収めることが出来るのは、せいぜい一つの人間ドラマです。
この映画はあくまで一つのミクロなケースを追い続け、
それがよく考えてみると実際には全体に繋がるという構成になっています。
ポリティックな映画の存在意義を確認したい僕としては嬉しかったです。
社会−個人という関係において、個人を描ききることで、社会が炙り出される。
そんな映画は結構好みです。
★こんな人に
社会派
僕と映画の好みが合う人
★映画のお供
ワインとかが合うかも