ここでは様々なテーマに沿ってベスト10を発表します。
「映画的に良いもの」じゃなくて、誰でも観たらその世界にフィットして楽しめるという観点で映画を拾っていく企画です。

シャッターアイランド

シャッター・アイランドのコラムです。観たいと思っています。
これは引き継いでくれた人のコラム。

レオナルド・ディカプリオと『ディパーテッド』(06)のマーティン・スコセッシ監督が4度目のタッグを組んだミステリー大作『シャッター アイランド』。不可解な事件が起きた孤島を舞台に、なぞ解きが展開される物語で、『ミスティック・リバー』の著者デニス・ルヘインの同名小説が原作となっている。主演のディカプリオのほか、『ガンジー』のベン・キングズレーやマーク・ラファロなど実力派俳優がわきを固めていることにも注目したい。


やられた……。本編を見た後にそんな言葉がつい出てしまう。
スコセッシ監督は海外の会見で「ヒッチコックへのオマージュ」と発言していたが、同作はヒッチコックの作品以上に演出上の仕掛けが巧妙だ。


精神を患った犯罪者の収容施設がある孤島「シャッター アイランド」。1954年、厳重な警備体制の施設から1人の女性患者がなぞのメモを残し失踪(しっそう)した事件を調査するために、レオナルド・ディカプリオ扮する連邦保安官のテディが、ボストン沖にあるその島を訪れるところから物語は始まる。


冒頭で、シャッターアイランドに向かうテディが乗った船の汽笛が鳴るシーンは、その後の不穏な展開を象徴するかのように重苦しく鳴り響く。過去のスコセッシ監督の作品を見て特筆していると思うことは、効果音を場面音楽のように鮮やかに使用する手法かもしれない。
『タクシードライバー』(76)や『ケープフィアー』(91)を見て、話のテイストや展開に沿った効果音を劇中曲のようにアレンジすることで、心理的な不安は倍増していく。今回もまさしく船の“汽笛”がその役目を担っている。


また、テディが失踪(しっそう)した女性患者を捜索していくうちに、彼のトラウマ(過去の強い心理的な傷が、精神的障害をもたらすこと)が浮き彫りになっていくところも見逃せない。それは、テディの最愛の妻と娘が火事によって死亡したことと、第二次大戦中にナチスドイツがユダヤ人に対しておこなったホロコースト(大量ぎゃく殺)の現場(ユダヤ人が強制収容された施設)に、連合軍の兵士としてテディが行った際に目撃した光景があげられる。そのトラウマと、島に来させられた本当の目的とが巧妙にリンクしていくあたりも、なぞ解きをテーマとしている本作が、人間ドラマとしても厚みのある作品に仕上がっているといえる。
またディカプリオも、トラウマを抱えた陰のある青年刑事を好演。ほんの10年前までは線の細いイメージがあったが、近年は肉付きもよく、ひげも似合い『ゴットファーザー』シリーズのリメイクがあれば主演をはれるかも!? とさえ思わせる貫ろくぶりに、時の流れを感じずにはいられない。


なぞがなぞを呼び、予測のつかない展開で見る者の度肝を抜く『シャッター アイランド』。結末を言いたい! でも見ていない友達には言えない! とまわりの人を身もだえさせないように、公開されたらまずはあなたが真っ先に見に行ってみては?

Publish at :2010/04/11(Sun) 10:55

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